WELL Building Standardについて


WELLとは

 

WELL(正式名称はWELL Building Standard)は、人々の健康とウェルネスに焦点を合わせた世界基準のビルト・エンバイロメントの性能評価システムです。2014年にv1版として初めて発表され、その後2018年にv2 pilot、2020年にv2版が発表され、2021年からv2版のみ運用されています。

 

米国のIWBI(International WELL Building Institute(非営利団体))が開発・運用し、GBCI(Green Business Certification Inc.)が認証の審査を担当しています。

認証期間は3年です。この間、毎年年次報告をするとともに、3年後には再認証プロセスも求められます。

 

建物のマネジメントに特化したWELL Health-Safety Rating、測定・モニタリングによる環境測定に特化したWELL Performance Rating、対象を街区に広げたWELL Community Standard (pilot)といった姉妹規格も提供されています。

 

 

WELLの評価項目

 

WELLは次の10カテゴリーで評価されます。

  1. 空気(Air):効率的な換気、VOC低減、空気ろ過、カビの制御などを評価します。
  2. 水(Water):汚染物質・添加剤の制限、定期的な水質検査、水分摂取の促進、トイレ・シンクの衛生などを評価します。
  3. 栄養(Nourishment):果物・野菜の接種促進、加工食品の規制、豊かな食事空間、食物生産などを評価します。
  4. 光(Light):照明デザイン、サーカディアン照明デザイン、グレア制御、昼光利用、照明品質などを評価します。
  5. 運動(Movement):人間工学、身体活動促進、運動スペースの提供などを評価します。
  6. 温熱快適性(Thermal comfort):温湿度の管理、温熱ゾーニング、個別制御などを評価します。
  7. 音(Sound):騒音、遮音性能、吸音性能、サウンドマスキング、音響性能などを評価します。
  8. 材料(Materials):有害物質の排除・低減、VOC排出管理、廃棄物管理、清掃管理、接触低減などを評価します。
  9. こころ(Mind):健康・ウェルネスへの意識、面差るヘルスサポート、ストレス管理、自然へのアクセスなどを評価します。
  10. コミュニティ(Community):インテグレイティブデザイン、健康管理サービスの提供、緊急事態対応、ダイバーシティなどを評価します。

 これらの加えて、WELLにない取り組みをイノベーションとして提案することも可能です。

 

 

WELLの認証レベル

 

WELLでは、10のカテゴリーそれぞれに必須項目と加点項目が設けられています。すべての必須項目を達成したうえで、加点項目で達成したポイント数に応じてBronze、Silver、Gold、Platinumのいずれかの認証が与えられます。

  • Bronze:40~49ポイント
  • Silver:50~59ポイント
  • Gold:60~79ポイント
  • Platinum:80ポイント以上

 

 

WELL取得及びその後のプロセス

 

WELLは、取得するまでに次のようなプロセスを経る必要があります。

  1. WELLプロジェクトの登録:IWBIが提供するWELL Onlineを通じて登録をします。
  2. 書類審査:取り組む項目を選択し、各項目の要件を満たすことを示す書類を準備し、WELL Online上で提出します。審査は2回与えられます。
  3. 現地審査:審査機関であるGBCIもしくはGBCIが認めた第三者機関が、実際に現場を訪問し、空気、水、光、温熱快適性、音の測定と現場の確認を行います。審査は2回行われます。
  4. 認証取得:書類審査と現地審査で認められた最終ポイント数に応じて認証レベルが付与されます。
  5. 認証取得後の運用:達成した項目のうち定められた項目について、年に1回取り組みをレポートにし提出します。
  6. 認証取得から3年後:必要に応じて再認証の申請を行い、審査(書類審査・現地審査)を受ける必要があります。

 

 

私たちのご支援スタイル

 

私たちは、クライアントのお考えを巨細にお聞かせいただくこと、現場や周辺環境について学ばせていただくこと、取り組みを円滑にするプロセスを工夫することを含め、地に足の着いた支援をさせていただきます。

  • WELLを、「よい空間・建物をつくるきっかけの一つ」と捉える(=絶対視しない)
  • それぞれの現場が有する特徴や魅力が発揮されるように、WELLを活用する
  • WELLが示す多角的なウェルビーイングへの切り口と展開方法の活かし方を工夫する 
  • WELLの利点をできるだけ活かしつつ、WELLの難しい点を自然にクリアすることに努める
  • WELLを、より意味のある形・流れに再構成する
  • インテグレイティブデザインを、支援プロセスの中心に位置づける
  • WELLの要求事項をどうクリアするか、お客様と話しながら具体案を作っていく
  • ハード面だけでなく、ソフト面も積極的に支援する
  • WELLにない(と異なる)ことでも、そのプロジェクトにとって意味がある側面や取り組みは重視する 
  • ディテールと具体性を大切にする
  • 測定・検査、空間使用者への調査などによるデータの収集と分析を大切にする
  • 必要になる関連製品・サービスやツール類を案内または準備する
  • 審査機関とのやり取りや折衝を含めて、PJの潤滑油として動く 
  • ハードルになりやすい部分を、できるだけシンプルに解決する
  • IWBIに対して、必要な主張をする(ことをお手伝いする)
  • お客様にとってやりやすい(メリットがある)形の役割分担を個別に調整する
  • しっかりとお話を伺い、丁寧にすり合わせる
  • 優れた現場づくりを含めて、中長期的な視点からサポートする